【個人/グループ戦術】スキャニング(認知)|”周りを見る”について考えよう(攻撃編)
「顔を上げて!」
「周りを見て!」
とプレーしていない側からすると選手についつい言いたくなるものではありますが、実際にリンクの上に立つとベンチや客席から見るよりもスペースや時間はないものです。
ホッケーIQの高い選手はこの限られたスペースと時間の中で瞬時に状況を認知し、プレーを判断することができます。
この記事では攻撃時において「周りを見ること=スキャニング(認知)」について解説していきます。
スキャニング(認知)
あるデータによると、プロのサッカー選手は1試合の中で「周りを見る首や目の動き」を800回以上しているそうです。
周りを見ることでプレーを認知することを【スキャニング】と言います。
印刷機でコピーする紙のデータを読み取ることを「スキャン」と言いますが、スポーツでは「周りを見てプレーを成功させるための情報を読み取る」という意味でスキャニングという言葉が最近使われるようになりました。
プレーの実行へのメカニズム
状況に応じて適切にプレーするには、今現在どういう状況なのかを理解しなければなりません。
プレーの最中は
✔認知=見る、予測(スキャニングの要素) ✔判断=プレーの選択 ✔実行=スキルを発揮
を瞬時に繰り返します。
※戦術メモリー:プレー原則だけでなく過去のプレーの成功体験などからプレーを判断実行すること
上記の図において「スキャニング=認知」はホッケープレーヤーとして非常に重要な能力の1つです。
いつ何をどう見るか?
プレー中にスキャニングするポイントをまとめてみます。
▼いつ見るか?
・パックを持っているとき
・パックを持っていないとき
・パスをもらう前
・パスをもらった後
▼何を見るか?
・味方
・相手
・パック
・スペース
・ゴーリー
▼どう見るか?
・身体の向き
・眼や首を動かす
・遠くを見る
「いつ何をどう見るか?」を理解すると、必要な状況を読み取ることが容易になります。
周りを見るための練習例
ここまでスキャニングの知識についてまとめました。
とは言え、頭ではわかっていても実際に周りを見ることが難しい!!
ですので日頃からスキャニングの知識を持ち、意識した練習を積み上げていく必要があります。
過去にアカデミーで行なった「スキャニング」を鍛えるための練習例を紹介します。
✔︎ハンドリングタグ(鬼ごっこ)
パックをコントロールしながら、味方とぶつかったりDF(鬼)にパックを奪われないように周りを見る練習です。
✔︎1on1ゲート
定番練習の一つであり、「認知判断」を身につける入門的なドリルです。
パスが自分に向かってくる最中にDFの方向づけを見てパックコントロールの意図を判断します。
この練習はどのカテゴリーも応用できます。
コーンなどを使ったいわゆるクローズドスキルドリルでも、顔を上げることを意識することは大切ですが、これだけで認知判断の能力が上がりません。
常に状況が変化するオープンスキルの中で認知判断を磨いていくこと、また「認知」と「判断」に基準をもって指導していくことが大切です。