1年間で最も盛り上がるNHLプレーオフ、通称「スタンレーカップ」。
超一流のNHLプレーヤーがスタンレーカップを懸けた約3ヶ月に渡る熱い闘いを繰り広げています。

西はコロラド・アバランチ(COL)とエドモントン・オイラーズ(EDM)
東はタンパベイ・ライトニング(TBL)とニューヨーク・レンジャーズ(NYR)が勝ち上がりました。
この2つのカードの勝ったチームがスタンレーカップファイナル(優勝決定戦)に進みます。
今回は、東のタンパベイ・ライトニング(TBL)とニューヨーク・レンジャーズ(NYR)の第1戦について解説していきます。
✔︎注目ポイント
タンパベイ(TBL)は攻守そしてゴーリー全てにおいて抜かりなく総合的な力ではこの4チームの中でもトップだと思います。
タンパベイは2年連続でスタンレーカップを獲得しており、3年連続での獲得が懸かっています。
プレーオフ最強のブライデン・ポイント(#21)が怪我により出場していないことが懸念されていましたが、レギュラーシーズン覇者のフロリダ・パンサーズをスウィープ(4連勝で勝ち上がること)で破り勢いがあります。
注目選手は
FWニキタ・クチェロフ|Nikita Kucherov #86
FWスティーブ・スタムコス|Steve Stamkos #91
GKアンドレイ・バシレブスキー|Andrei Vasilevkiy #88
バシレブスキーは体格と俊敏性に優れ、NHLを代表するゴーリーの1人です。
対するニューヨーク(NYR)は、前節でカロライナ・ハリケーンズに王手を掛けられたものの、攻守を修正し2連勝。
こちらも勢いに乗った状態でここまで勝ち上がってきました。
注目選手は
FWミカ・ジバネジャド|mika zibanejad #93
FWアルティミ・パナリン|Artemi Panarin #9
GKイゴール・シェスターキン|Igor Shesterkin #31
GKシェスターキンは長年レンジャーズの守護神として活躍したヘンリク・ランドクイストの後釜として活躍するロシア人ゴーリー。
レギュラーシーズンは52試合に出場し平均セーブ率93.5%。
✔︎第1戦の得失点分析
第1戦はNYRが6-2で勝利。
ハイライトを見る限り、「NYRがバシレブスキーを攻略した」印象です。
得失点を見ていきましょう。
◉NYR1点目
ルースパックに対してジバネジャド#93が相手チェッカーの内側の優位なポジションを先取したことが得点につながりました。
スラップシュートを打つフリ→パスアクロス→クイックリリースでGKバシレブスキーが正対する前にシュート。
シュートの位置がインサイドハッシュマーク付近だったので、バシレブスキーはポストではなくクリーズ上に向かって正対すべきでした。
◉TBL1点目
スタムコス#91のスラップシュートに合わせて、ゴール前の選手がフラッシュスクリーンに入ったことが得点につながりました。
フラッシュスクリーンを抑えようと味方DFもスクリーンに重なってしましたね。
◉NYR2点目
シュートの直前にスロット中央でシュートを防ごうとしたDFがスクリーンになりバシレブスキーの正対がずれました。
バシレブスキーは右側から顔を出しながらシャッフルで正対すべきでした。
◉TBL2点目
ショートリバウンドに対してGKシェスターキンは手足を前に突き出してアタックセーブで瞬時に壁を作るべきでした。
守備の視点で言えば、ゴール前に走る選手を見失いフリーにしてリバウンドを打たせてしまいましたね。
◉NYR3点目
ゴール裏でバシレブスキーをハンドリングで翻弄している間に、ゴール前でデスマルケ(マークを外す動き)→一瞬DFから離れたタイミングを逃さずパス→ワンタイマー。
この1点がNYRを攻撃を加速させることにつながりました。
◉NYR4点目
左からのパスアクロス→ワンタイマーでの得点ですが
パスを読ませないようにできるだけ短いモーションでパスを放っていることがわかります。
また、バシレブスキーは中距離~遠距離でのパック展開やスクリーンに対して
「アップライト(姿勢を高くする構え)でアゴを上げて構える」ので、素早い横移動ができないことを攻略して狙ったプレーだと考えられます。
◉NYR5点目
この辺りからバシレブスキーのデプスやボックスの管理が狂い始めます。
この失点も、パスの可能性があるのでBデプスでシュートにもパスにも備えることがセオリーですが、最初の正対やBデプスに下がるタイミングが遅れてパスアクロスに正対が間に合わずに失点。
◉NYR6点目
バシレブスキーはパスアクロスの初動に対しての方向転換、パスが到達するまでの移動に遅れています。
右サイドからのパスの瞬間に、ゴール前でフラッシュスクリーンをかけることで
【ゴーリーにパスの瞬間を見せない】ようにしているからです。
これにより、バシレブスキーはパスアクロスへの正対が遅れてしまいました。
結果的にシュート数はTBLが上回りましたが、スコアリング戦術、シュートの精度でNYRが上回る結果となりました。
このレベルでは「とにかくシュートを打て!」では得点できず
いかにグリーンショットに関わるシュートチャンスを意図的に作ることができるかが重要になります。
NYRは特にグリーンショットを生み出す戦術、スキルが徹底されていましたね。
とはいえ、まだ第1戦目です。
TBLは3連覇に向けて次の試合は修正しかなりハードにプレーしてくることでしょう。
両チームが次の試合どのように修正し臨んでくるのか。
前戦との変化にも注目しながら見てみてください。