現代ホッケーは、スティックのテクノロジーの進歩、プレー理論の進化より、プレースピードが非常に高速化しています。
ゴーリーは高速で移動するパックを見続けるスキルと、そのパックの動きを読み素早く正対するスケーティングスキルが求められます。
ここでは現代ゴールテンディングに欠かせない3つの要素を紹介します。

①パックトラッキング
意味
パックを目で見続けること、探すこと
ゴーリーは高速で動くパックを常に目で追い続けることが重要です。
長野五輪でチェコ代表として金メダルを獲得したドミニク・ハシェックは
『俺は見えているシュートは全て止めることができる』と言っていましたが
つまり超一流のゴーリーでもパックが見えなければ止めることができないということでもあります。
現代ホッケーでは、ゴーリーにパックを見せないように邪魔をする「スクリーン」がスコアリングとして欠かすことのできない戦術の一つになっていますが、ゴーリーはスクリーンや混戦の中でもパックを目で追い続けるスキルが必要です。
また、どの動作でもパックや次の位置をいち早く見ることが最優先です。
このことを「アイズファースト(Eye’s first)」といいます。
②ハンドプロジェクション
意味
パックに対して構えを最大面積にして向けること
ゴーリーの動作は常に「パック視点」で考えます。

パックの高さからゴーリーを見上げたときに余分な隙間がないか?
防具同士が余分に重なり小さく見えないか?
左右のポジションはきちんと合っているか?
などをパック視点でイメージすることが重要です。
逆にプレーヤー視点の「正対がズレている!」は、パック視点ではなくシューターの目線からの印象だけだったりするので、ゴーリーはその言葉に惑わされないことも大事です(笑)
ハンドプロジェクションは、常にパックに向かって両手を突き出して最大面積を維持するように構えます。
至近距離からのシュートに対して反応が間に合わない場合、手をパックに向かって出して瞬間的に最大面積を作るアタックセーブと呼ばれる技術も近年のホッケーでは必要不可欠なスキルです。
③ヘッドトラジェクトリー
意味
頭と両手の構えを次の位置へ運ぶこと
次の方向、正対位置へ頭と両手の構えを積極的に運うことで重心が安定し、シュートが打たれる前に構えと正対を完成させることで安定したセービングを実行することができます。
◉参考動画①
シンプルな正対スケーティングドリルです。
次のパックを先に見ることで(アイズファースト)自分のポジショニングを瞬時に計算し、パックの真正面に正対します。
両手は常にハンドプロジェクションし、パックに対して両手を突き出して向けます。
次の位置へ積極的に頭と構えを運ぶ(ヘッドトラジェクトリー)ことで、素早い正対→セーブに移行できます。
◉参考動画②
あえて横向きに構えた状態から瞬時にトップクリーズへ正対し、ボディートラップ(構えの内側のシュートを捕球すること)します。
3つの要素(パックトラッキング、ハンドプロジェクション、ヘッドトラジェクトリー)を瞬時に実行し、パックの正面へ素早く構えと正対を完成させることで、正確にパックと目で追ってセーブすることができます。